拝啓 長倉洋海様

 あまりにお手軽で、自己中心的で、想像力を働かせることのない毎日に慣れ切っている我々日本人は、ダメですね。あるいは、あまりにシニカルであったり、諦観や決めつけしか持てなかったり、斜に構えて人生や社会を見てしまったりするのも。
 毎日の生活の中で、人間を深く知ろうとすることを、人間を信じることをもう少し大切にしていきたい。自分や自分の人生をもっと深く知ろうと努力したい。自分を変えることを恐れたりあきらめたりしないようにしたい。そんな気持ちになりました。

 長倉さんがアフガンやエルサルバドルやアマゾンで出会った人達の瞳があんなに輝いていたのは、絶望の中でも未来に希望を見ていたから。未来を信じる気持ちは強さそのもの、美しさそのものだから。我々は、彼らの幾分の一ほどの希望や強さや美しさを持っているだろうか。

 日本は、もうずいぶん前に共同体を失ってしまっていますね。大人も子どもも老いも若きも共に生きる場である家庭や地域を、そして、そこで共にに生きるための理念を失った。どんなにお金や物があふれていても、それを豊かさとは言えるはずがない。一緒にテーブルを囲み食事を共にしたり、語り合ったり、怒ったり泣いたり笑ったり、共に働いて汗を流したり、肩寄せ合って同じ物を見たり感動したりすることが、人間を育てるのだということを、全く忘れてしまっていますね。

 長倉さんは、戦争や紛争地域の様子を伝えたいのではなくて、戦争や紛争地域の一見すると絶望的な状況の中にも、人間の普通の暮らしがあり、喜びや悲しみを共にする場があり、また、希望や未来を信じる気持ちがあり、人間の強さや美しさがある、ということを伝えたいのだと思う。

 そうですよね、長倉さん。

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